「ひだまり」2024年8月26日(月)
「命の危険」「外出は控えて」などの警報もなんのその、元気に夏を乗り越えた彼らがやって来ます。学校再開目前。手仕事にひと時打ち込んで、新学期のための英気を養ってもらいましょう。盛り上がることを祈念してエアコンをスイッチ、オン。
この日のクラフトは「インディアンクロス」の名前でも親しまれているメキシコの民芸品。ウイチョル族が子どもの健やかな成長を祈るお守り「God’s Eye」として代々引き継いできたもので1960年ごろから世界に広まったものです。交差した棒に色とりどりの糸を巻きつけていくだけの単純な作業ながら、老いも若きも熱中するという折り紙つきのクラフト。さて、ひだまりっこたちの反応はいかに。
この日の参加者はMさん親子。7月の集まりで会った時より精悍で豊かな表情が、充実した夏休みを過ごしたことを雄弁に物語っています。見本を見ながら、作業の説明が終わるとテーブルの上に用意された色別の毛糸やリボン、そして様々な棒を物色。材料を選び出して、作業に取りかかるのに5分もかからない決断の早さに、「え、大丈夫?」と狼狽えるのは雑念の多い大人の性?子どもはうまく行こうが行くまいが、気に入った材料を手に作業に余念がありません。
同じ兄弟でも、それぞれに個性があります。どちらもブレないけれど、一見効率が悪そうな細い糸を丹念に巻きつけてじっくり仕上げていくお兄ちゃん傍で、妹のAちゃんは奔放に、思うままにぽんぽん仕上げていく。末っ子のYちゃんはそもそも、おままごと以外眼中にない。託児の係を相手にどっぷり浸かっている。個々にやりたいことを見定め、貫徹する力は、個性の尊重との釣り合いの中で育まれるものだということに頷かされる一場面でした。
九州の親戚を訪ねて車で往復の旅行をして、さすがに大変だったと吐露したMさん。6月ごろは新年度の始まりと生活の変化に青息吐息の様子でしたが、3人のお子さんに目を配りながら、一人ひとりと言葉を交わす「間」を大切にする姿がありました。母親としてどんどん鍛えられていくMさんの様子に、我が子育ての「あの頃」を懐かしく思い出しました。
1時間半余り、手を動かした後はおやつを食べて解散。それぞれの作品がこの夏の輝かしい思い出に加わることを確信するような、そんな満ち足りた表情で彼らは帰って行きました。若いお母さんにとって安息の場であること。母と子の成長を見守ること。そんなひだまりから子育ての追体験に留まらない、楽しさや充実感の恩恵を受けているのは他ならぬスタッフ、かもしれません。
読書 「むりむり大将 ばか大将」
羽仁もと子著作集 こども読本
次回のひだまりは9月30日(月)の予定です。お楽しみに。